楽天・梨田監督電撃辞任【フロント介入】は本当に悪なのか!?

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6月16日に突如発表された楽天・梨田監督の「電撃辞任」。

関係者の間ではそろそろか、なんて話もあったらしいが、一野球ファンとしては仕方ないかな~なんて思いながらも驚いた。

当然、後を追うように「その背景には~」なんて話がポロポロと出てくるのだが、今日はその中でも気になった「データ戦略室」を介した楽天のフロント上層部の介入について書いていきたいと思う。

1.「フロント介入」は本当に悪なのか?

まず、このフロント介入の話がどこまで本当なのかはわからない。

なんたってソースが「東スポ」だったりするわけで「なんだ三木谷最低だな」なんて全てを鵜呑みにするのもどうかと思う。

そうは言っても、2015年にも同じ様な話があった楽天であるから、まぁ大枠外してはいないのだろう。少なくともフロント(データ戦略室)と梨田監督が上手くいってなかった程度の事実はありそうだ。

photo credit: PriceMinister via photopin (license)

現場外からの「介入」は「有り」だ!

さて、「フロント介入」へのネットの反応はといえば、否定的な意見が目立つ。まぁ記事からして「フロントの介入が梨田監督を追い詰めた!」という論調であるのだから、当然ではあるのだが……

果たして本当に「フロント介入」は悪なのであろうか?

私個人としては、フロントに限らず現場外からの介入は「有り」だと考える。

最近のプロ野球は膨大なデータが収集され、ありとあらゆる視点から解析される。従来の打率や防御率みたいな基本的な数字は勿論のこと、セイバーメトリクスが広まったことによるUZRやWARといった指標、トラックマンのような機器が発達したことによる打球角度やボールの回転数などなど、ほぼ全てのプレーが数値化されている。

そうして数値化されたデータは、契約更改やドラフトなどの選手評価に活用され、また我々ファンにも新しいスポーツの楽しみ方を提供してくれた。最近ではトレーニングにも選手個々人で活用するケースは増えてきている。

だが、その反面、現場では扱いに四苦八苦していることも否めない。

データ活用の歴史は長いが、未だ使い切れていない

プロ野球でのデータ活用自体は、今に始まったことではなく、それを収集するスコアラーなんて専門職は1950年台から存在する。

これが前述したセイバーメトリクスの台頭によって、複雑かつ活発になったわけだが、それだって日本に入ってきたのは30年近く前の話だ。

それだけ長い歴史にも関わらず、現場で活用しきれているかと言えば疑問符が付くだろう。

例えば、6月16日に行われた巨人対ロッテ戦。

巨人の先発は左投手の田口、それに対してロッテの井口監督は、これまで出場のなかった右打者の細谷をスタメンに抜擢した。左投手相手だから右打者、これはこれまでの野球のセオリーである。だが、データ上では今年の田口、左打者を苦手としている。

実際この試合、6本のヒットを放ったロッテ打線であるが、その内3本は左打者が放ったものだった。スタメンに抜擢された細谷も1本ヒットを放っているし、代わりに左打者、例えば平沢を入れたとして結果が出るかは確率の問題でもあるから間違いとも言えないが、データを活用しているとは言い難い。左投手相手だから右打者!のセオリー重視で望んだとすれば尚更である。

他にもいくつかの球団で、得点効率が良いとされる2番に強打者を入れるオーダーを組みながら、一方では効率が悪いと言われるバントを多用するなど、データとセオリーの間でブレブレになっている姿も珍しく無い。

監督・首脳陣だけでは扱いきれず、結局はセオリーとイメージの采配に

だからと言って、これで監督を攻めるのは酷だろう。

集めようと思えば首脳陣の元に集まるデータは膨大だ。

従来の数字だけにしてもアホほどあり、そこにセイバーの指標やらトラックマンの数字やらが入れば把握しきれるはずもない。

そもそもそれらは所詮、統計であり、絶対的な正解では無い。

どこまで何を信用して、使っていけば良いのか……

そうなると結局はイメージとセオリーと、つまりこれまでやってきた野球観の中でやっていく事になる。対右、対左なんて昔からあるデータにしても、増えすぎてしまった数字の中に埋もれてしまっても不思議ではない。

2.現場への外部からの介入は必然

さて、またしてもロッテの話で恐縮なのだが、元ロッテの小宮山悟氏が「プロ野球球団におけるゲーム分析データの活用事例」という興味深いレポートを発表している。

そこには2005年のロッテでのデータ活用事例を挙げて、その考察をされているのだが、提示されたデータがはっきりいってとんでもない。

悪い意味ではなく、恐ろしく細かく複雑なのだ。そのデータを元にミーティングにおいて具体的な指示がなされるらしいのだが……それを球団首脳陣のみで実現している……わけがない。

そこには間違いなく数字の専門家の意見が入っているし、これだって報道の言葉を借りれば「介入」である。

12球団にあるのは多少のスタンスの違いだけ

そのデータをあくまで参考資料として入手し、チーム内で少々揉んでから伝言ゲームのように指示するか、それをある程度意見としてまとめて投げ入れるか、その程度のスタンスの違いが各球団にあるだけで、今やフロントもしくは外部からの「介入」が無い球団などあり得ない。

そもそも生のデータにしろ、分析結果にしろ、それだけ手渡されたところで正直言って意味不明である。

データをもらって「そうか~なるほどね」とはなるかもしれない。だが、それを更に活用しろとなれば、お手上げであろう。

刻一刻と変化していく試合展開の中で、使えるデータを抜き出して活用するとなれば難易度は更に跳ね上がる。

彼等は野球のプロであっても数字のプロではない。餅は餅屋、数字はアナリストに任せるのが一番だ。数字単品ではなく専門家が噛み砕いた意見を聞くことで、初めて首脳陣が使えるレベルに落とし込めるのである。
介入がなければ「豚に真珠」「猫に小判」「首脳陣にビックデータ」そんな感じだろう。

だからこそ楽天の「データ戦略室」に近い組織、体制は今やどの球団にも存在する。

ソフトバンクでは、外部から示すデータを各選手に支給したiPhoneによって自由に閲覧できる試みを実践しているし、巨人も戦略室と呼ばれる組織に大量の人員を配置している。
西武は今年から「IT戦略室」なるものを新設し、可動させた。他にもそういった組織を独自に持たずとも、スポナビを運営するデータスタジアムなどからデータの提供や分析ソフトの提供を受けている。

そうした環境の中で段々と数字に対する理解が浸透し、現場だけで全てできるようになる未来が来るかもしれないが……現状は外部からの協力は必要不可欠である。

なぜ楽天は槍玉に上がったのか?

今回、というか2015から楽天が「介入」と槍玉にあがるのは、一つは三木谷氏のワンマンなイメージにあるのだろう。

元々野球界は非常に閉鎖的な組織である。そこに新たに入ってきた新参者であることに加えて、とにかく目立つ叩き上げの経営者。
そんな人間が、何か珍しいことを始めたぞとなれば、批判として返ってくる可能性は非常に高い。

そしてもう一つが、早急に事を進めすぎたからかもしれない。

例えば巨人の戦略室は、そのほとんどが球界出身者のスカウトであり、ソフトバンクは選手個人へのデータ提供でデータ活用の浸透を図っている。あくまで野球界の人間が主となってデータ活用を試みているのだ。

その中間地点には数字を理解し、伝える繋ぎの人材がいるのであろうが、その人物が表立って目立つことは無い。

2015-これまでの介入履歴

対して楽天はと言えば、始まりが三木谷氏から当時の監督デーブ大久保氏への直接的な助言・介入であった。当然、その前段階で様々な専門家と協議した結果を元に行われていた介入ではあるが、さすがに色々とすっ飛ばしたホットラインは槍玉に上がった。

2015年には、元巨人OBの広岡氏が「それはフロントの仕事であり、フロントから現場に落とし込むべきだ。直接首を突っ込んでくるのはよくない」と雑誌コラムで批判していた。

そこで今度は今回の「データ戦略室」を設立し、そこを通しての介入となったわけだ。だが、やはりここでも「フロント上層部の現場介入」と槍玉に上がることとなる。

確かに、三木谷氏肝入の部署である「データ戦略室」は、それは即ち三木谷氏の言葉ととれるかもしれない。しれないが……「それじゃどうしろっていうのよ」となりはしないだろうか?

二度目になるが、今やフロントの介入それ自体は当然のことである。現場だけでは対応しきれない膨大な量のデータを処理するのに外部からの介入は必須だ。

「介入」→「協力」に置き換えれば

そもそも介入という言葉が良くないのである。三木谷氏の言葉を借りるなら「フロントと現場が一体となる組織的なマネジメント」であり、双方の協力である。

別に私自身は三木谷氏を支持しているわけでも、応援しているわけでも無い。無いのだが、あまりにも現場至上主義のような意見が多く、疑問をもってしまった。

そしてデータ活用が活発化してから数十年経っているのにもかかわらず、その浸透度がイマイチであるのは現場至上主義が壁となっているからだと感じた。

決定権は現場に無かったはさすがに東スポクオリティ?

勿論、報道にあったような、当日のオーダーは「データ戦略室」の決済が必要で、現場で決めれないなんて現実が本当にあったのだとすれば、それはもうどう考えてもやりすぎである。

しかし、デーブ氏の時代は、助言はあったが、決定権は現場にあったとデーブ氏自身が語っている(デーブ氏「三木谷会長介入の真相を語る」)。

この話を事実だと考えれば、強要ではないが、現場はオーナー肝入部署から圧力を感じていたというのが真相ではないだろうか?

最近の表現をするのであれば「忖度」だ。

完全なる縦社会の中で生きてきた梨田監督であれば、トップであるオーナー代理ともとれるような「データ戦略室」からの助言は相当な圧力になり得る。

勿論、先日あった柔道界のパワハラ騒動などを考えると、権力者は自身の影響力を鑑みた行動が必要であり、時には自制しなければいけない。

だが、他球団に差をつけるという面で見れば、少々強引すぎる手法であってもそれに対応できる首脳陣であればそれなりに面白い結果を残すのではないかと感じる。

遅々として進まないデータ活用に風穴を!

データ活用によってロジックを明確にした戦術やトレーニングがこれだけ進んできたにも関わらず、現場では相も変らず迷采配が繰り返され、不調に陥れば最後には結局走り込みに行き着くことが少なくない。

誤解を防ぐために書いておくと、走り込みが悪いわけではない。なんでもかんでも走り込みで片付けるのは間違いだと言いたいのだ。

そんなになんでも走り込みで解決すれば、マラソンランナーは皆、メジャーリーガーも夢じゃない。

そういった状況を打破するためにも、現場に遠慮した伝言ゲームのような協力ではなく、もっと現場とフロントが近づく改革があっても悪くない。

それを長年、従来の方法でやってきた梨田監督に求めた事が、今回の最も大きなミスであり、罪ではないだろうか。

圧力をかけるつもりが球団側に無かったとしても、従来の価値観が染み付いている梨田監督にしてみれば非常に大きなプレッシャーであったことだろう。

見ているものが違いすぎる上下関係は不幸でしか無い。

また、球団とフロントの一体化を提唱するのであれば、梨田監督と共に「データ戦略室」の方でも責任をとる姿勢を見せなければいけない。途中でフロントまで動かせないというのであれば、シーズンオフに何らかの動きはあって然るべきだろう。

後を引き継いだ平石監督代行が、どこまで球団と歩調を合わせられるかはわからない。だが、その年齢と首脳陣としての荷物の軽さを考えれば、それなりに面白い結果になるのではないかと少し期待して今回は終わりたいと思う。

 

☆参考サイト・記事☆

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